しろこの余白

好きなもの関係で思ったことの記録です。

ハケンアニメ!を観た

⚠基本あらすじの解説とかふっ飛ばして自分の感想だけ書いているので、必要に応じて検索してください

⚠ネタバレもしています

⚠感想というよりだらだら考えたことになってしまいました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刺さるといいなって思ってます!と前置きされて見たけど、そんな軽いもんじゃなくてびっくりした。当日は大雨だったから、タオルを余分に持ってきていて良かった。

社会人として働く私、小さい頃から2次元オタクの私、若手俳優を追いかけている私、全員まとめて突き刺されるなんて初めての経験。

人生の命題として「自分は何者か」を追い求めるのは社会に生きる人間によくあることだと思う。例えば、自分だからこそできるのだと確信できること、自分の存在や行動を評価されること、自分の存在が誰かの存在に影響を与えること。孤独であることを自立と捉える考え方も否定はしないけど、私は結局、人は誰かの目線を受けることが一番の支えになるのだと思っている。

私個人はもう既に何者かになることを諦めているフシがあるけれど、それでも、誰かに知っていてほしいという気持ちはどうしても消せない(その言い訳がこの考え方なのかもしれない)。そんな甘えた考えのもとで生きてる人間に対してこの作品は、どうしようもない現実は勿論のこと、そんな現実の中でもつかみ得る希望すらも見せつけてきた。でもこれは私であり私でない人の物語であって、じゃあこれを見た私はどうすればいいんだ?

私の日常には行城さんも有科さんもいないんだよ。そんなことはわかっている。

全編通して、端的に言えば「わかる…」の連続だった。たまたま自分が女で、2次元が好きで、人の多い会社に勤めていて、何かを応援しているからなのかもしれないけど。

相手からレッテル貼りをされ、それを受け流すのに慣れすぎると、知らない間にこっちが貼る側に陥っていたり。味方だと思っていた人は、実はただのこうもりだったり。敵だと思っていた人は、実は思いやりの裏返しだったり。生きていると目に見えている物事の不確かさを日ごと実感するし、嫌だなしんどいなって思って不必要に疑いの目を向ける時だってある。けど、人にも物事にも裏があってこそ面白いし、裏があるからこそ、そこに救いが隠れていたりする。あながち否定するばかりでもないんだよな、って、鼻をすすりながらぼんやりと考えた。名前を呼ばれただけで認められた気持ちになる、その感覚を知っている。

アニメーションのチカラ、みたいな話。あの日出会えたことが今の原動力に繋がる、という話。小さい頃の私も物語の世界にたくさん助けられたし、それは今この年になっても変わっていない。

自分に貼られたレッテルをそのまま極めて自分のモノにしてやる!って笑った群野さんがかっこよかった。きっとそう在ることができるのは大好きなものが側にいてくれるからで、その頑張りが自分と大好きなものを繋いでくれるからで、あー、そうだったなって、この一年と少しを振り返ってしまったり。想像する以上に、好きの力は大きいんだよ。

そこからあの日の自分のような誰かに刺さってほしい、という思いに繋がっていくのは、優しいなって思った。そんな同じ道を進む、まだ全く評価されてない瞳と、評価されすぎている王子。瞳が自分の描きたい内容を貫けたのも王子がヒロインを殺さないラストを描けたのも、自分の中の好きな気持ちを明け透けにぶつけてもいい相手や場所があるって信じられたからだけど、勿論その前提にはそれを自分自身で作り上げ、手に入れる努力がある。貫くためには相応の準備は必要、甘くはない。

劇中、最終回視聴率の勝敗が、DVD予約数でひっくり返る。静かなシーンでひっそりと明かされる結末は、ひどく現実的だからこそ「そうだな、そういうものだな」って納得させられた。結果はいつも一つじゃなくて、先々に繋がっている。今が駄目でも、悲観するには早い。

私の日常には行城さんも有科さんもいない。けれど、私に力をくれる出会いは確かにあの時あったし、今だって側にいてくれている。いつだってその感情が私の支えになっている。「好き」という気持ちは時に願いにも似ているけれど、願うばかりでは足りないことを大人の私は知っている。どんなに儘ならない日々でも、好きのために頑張る私こそが「私」だって言いたい。何者にもなれなくても、私の好きを貫く私であることだけは忘れたくない。その頑張りが結果的に、いつか何かに刺さるかもしれない。そう思えるから、まだ諦めることはないな。

 

なんか考え事が大半になってしまったけど、吉岡さん演じる瞳の普段の覇気のなさ×頑固さのにじみ出る感じとか、中村さん演じる王子の「界隈ではイケメン扱いされてるけど世の中的に見るとそこまででもない」絶妙なビジュアル(中村さんはそこら辺の匙加減が毎度すごいと思ってます、イケメンな時はめちゃくちゃイケメンだし逆も然り)、そして何より柄本さんの主人公視点を意識した演じ方の所作、これほんっっとに凄かった、たった一つの仕草や表情でこんなにこっちの受取り方を操作されるのか…ってゾクゾクしたしいつか生で拝見したい、その他どの役者さんもまさに「その人」で没入感が凄かった。

そんなこんなでぶっ刺さってこんな感じに至りましたね。

本当に、何かを好きで何かに救われた人、今何かに打ちのめされている人は絶対観てほしい。2時間ちょい時間を作れる人は絶対観てほしい。出来れば翌日仕事休みの夜に。

 

観終わってからコージーコーナーのエクレア渡された時はさすがにアフターサービス充実し過ぎで笑った。美味しかったです。

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